税効果会計の役割

税務においては、不良債権の償却というものは、法的整理などの基準に該当しない限りは認めらません。しかしながら、会計においては実質的に回収が出来ないと判断された債権などは、償却せざるを得ないことになります。こういったケースでは、不良債権を償却した場合、企業側の会計的には費用となるのですが、税務上は損金と認められないことになるのです。

 

すなわち、会計上の利益は0であるのに、実際には納税額が発生していまうことになるわけです。しかし、その後この不良債権の回収が不能であることが明確になれば、当然法人税法上も損金と認められることとなり、そのときには法人税額は減少することになります。つまり、会計上の計算と法人税額の計算とにはタイムラグがあるということであり、法人税額の方が常に遅れてくることになります。

 

言い換えれば、企業側はその期の納税額に関しては、税務では認められない不良債権償却分だけ先払いしたことになるわけなのです。これを調整するために税効果会計が適用されるわけですが、その意味を簡単に説明すれば、先払いした税金額をその期の決算書に計上しておくということです。

 

具体的には、法人税等調整額として先払いした税額を計上しておけば、その期における企業の利益は、最初にその会計によって計算された額と等しくなるわけです。これによって、その企業の決算書の不整合さがなくなるわけなのです。